体験談

初めての夜釣りで出会った“カサゴの手応え”──ライトゲームの魅力

ライトタックルで狙うカサゴ。

その魅力は、なんといっても”手に伝わる生命感”と”ゲーム性の高さ”だと思う。

小さなルアーを操作し、岩礁帯に隠れているカサゴを探るーーまさに駆け引きの釣り。

最初は気軽な気持ちで始めたが、いつしかどっぷりハマっていた。

夜の堤防に立つと、風の冷たさと波の音だけが自分を包み込む。

ヘッドライトの灯りが照らすのは、ゴツゴツおしたテトラと暗い海面。

「今日こそは釣るぞ」と、ワームをキャストした瞬間の黒曜感は何度味わってもたまらない。

糸が切れるたびに心も切れそうだった

最初の数回は何をしても上手くいかなかった。

根掛かりで竿を煽るたびに”プツッ”と切れる音。

あの瞬間は本当に心が折れそうだった。

糸が切れたのリーダーを結び直し、気持ちを切り替えてキャスト。

しかし、一投目でまた根掛かりーー。

「嘘だろ…」と思わずつぶやく。

暗闇の中でラインを結び直す指先が震えていたのを今でも覚えている。

それでも、釣れない時間の中でキャストを繰り返した。

”いつかこの感覚を使えるはず”と信じて。

暗闇の中での失敗、そして葛藤

失敗は続いた。

暗くてリーダーを結ぶのが面倒になり、適当に結んだらあっさりラインブレイク。

「さっきの魚は、結構デカかったのに…」と悔しさが込み上げた。

さらに悪いことに、足元が見えず転倒。

ライトの光が揺れて、リールとルアーケースが地面に転がった。

その瞬間、「今日はもう帰ろうかな」と本気で思った。

それども、不思議と竿を置く気には慣れなった。

”もう一投だけ”

その言葉を何度も自分い言い聞かせながら、夜の海にキャストを続けた。

改善への挑戦と気づき

さすがにこれではダメだと感じ、翌日、自宅で根掛かりを減らす方法を徹底的に調べた。

いくつか試していく中で、特に大切だと感じたのが「糸の扱い方」だった。

まず、着底したらすぐに巻かずに、軽く糸を張る。

そこからアクションを加えたりズル引きを行う。

この時に、障害物や岩に当たる感触があれば、無理に引っ張らず一度糸を緩めることが大切だ。

焦って引っ張ると、ほぼ確実に根掛かりしてしまう。

それでも外れない時は、無理に糸を引っ張る前に、竿を限界まで立てて”糸を弾く”ように動かす。

これだけでも以外と簡単に外れることが多い。

もちろん、それでも外れない場合は残念ながら糸を切るしかない。

ただ、この一連の動作を意識するようになってから、根掛かりする回数は格段に減った。

小さい工夫の積み重ねが、結果として釣果アップにつながるーー。

このことを身をもって実感した瞬間だった。

ついに訪れた“あの瞬間”

潮が動き始めた頃、底をとってからゆっくりワームを引いているとーー。

”コツッ”という小さな衝撃が指先を伝わった。

一瞬で心臓が高鳴る。

と同時に、渾身のアワセで竿がグンと曲がった。

「これは間違いない!」

ドラグを少し締め直し、慎重に巻き上げる。

ライトを向けると、赤茶色の体がギラリと光った。

やっとの思いで掴んだ、小さなカサゴ。

その瞬間、これまでの失敗や悔しさが一気に吹き飛んだ。

暗く何も見えず、波の音だけが聞こえる中で、竿先に伝わるカサゴのアタリ。

この感覚が忘れられないから、今も続けられている。

カサゴ

失敗から学んだこと

何度も糸を切り、何度も結び直した。

でも、その経験があるからこそ、今は根掛かりを恐れずに探れるようになった。

ドラグの調整、リーダーの結び方、そこ撮りのタイミングーーどれも痛い経験が教えてくれたことだ。

ライトタックルでのカサゴ釣りは、ただ釣るだけじゃない。

ひとつひとつの失敗が、次のステップになる”成長の釣り”だと感じている。

まとめ

根掛かり、転倒、ラインブレイク。

あの夜の失敗は、今でもすべてがいい思い出になっている。

ライトタックルで狙うカサゴは、スリルと繊細さのバランスが絶妙で、どんな小さな一尾でも特別な達成感がある。

あの”コンッ”というアタリをもう一度感じたくて、今日もまた、夜の堤防へと足を運んでしまう。

カサゴをワームで釣る仕掛けはこちら>>>